成婚率のマジックに騙されない
結婚相談所選びにおいて注目されるのが「成婚率」です。「成婚率90%」など、にわかに信じがたい数字をHPで公表している相談所もあります。入会したら90%の確率で結婚できるなら、いくら高いお金を払っても入会したいですよね。
しかし、実際は、結婚相談所が公表している成婚率の計算方法はまちまちで、都合の良い計算方法を選択することで、高い成婚率を出すことは可能なのです。
この記事では、結婚相談所の成婚率についての疑問や、一般に理解しがたい複雑な計算方法について具体例を交えて解説します。
この記事を読むことで、結婚相談所を利用を検討されている方が「成婚率のマジック」に騙されない知識を得られます。現在、結婚相談所で活動されている方も役に立つ内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
結婚相談所の「成婚」とは
一般的に「成婚」は「男女の間で結婚が成立すること」を意味します。しかし、結婚相談所では「成婚」を以下のように定義しています。
結婚を前提にお付き合いする相手が見つかり、それによって入会していた結婚相談所から退会すること。
いい換えれば、結婚相談所の「成婚」とは「結婚したいと思える相手と出会えた」という意味になります。一般に使われる「婚約」や「婚姻届の提出」ではないのです。
また「婚前交渉」や「宿泊を伴う旅行」をした場合も「成婚」とみなされ、結婚相談所から退会となります。
「えっ、泊りの旅行もダメなの?」
と、大人の男女なら不思議に思うかもしれません。
しかし、婚前交渉や宿泊を伴う旅行を許可してしまうと、結婚相談所での出会いが、安易な婚前交渉の場になってしまう可能性があります。秩序維持のため、婚前交渉またはそれと類似する行為をした場合には「成婚」とみなして成婚料を払って退会いただく仕組みとなっているのです。
婚前交渉が禁止ということは、体の相性がわからないまま成婚退会するということです。夜の営みは結婚生活にはかかせませので、体の相性が悪いと最悪別れるというリスクもあります。
「成婚率」の計算式は様々
「成婚」の定義を理解したところで、いよいよ成婚率の計算方法を説明します。代表的な計算方法は以下の3つです。
①成婚退会者数 ÷ 総会員数
②算出期間中の成婚退会者数 ÷ 算出期間中の登録者数
③成婚退会者数 ÷ 総退会者数
例として、以下のような結婚相談所があったとします。
総会員数:200名(このうち50名は2021年~2022年に登録)
成婚退会者数:20名(このうち10名は2021年~2022年に退会)
成婚以外の途中退会者数:20名
この場合、①の計算式によれば
成婚退会者数20名 ÷ 総会員数200名 = 成婚率10%
となります。
ちなみに「成婚退会者数」と「総会員数」は、創業から現在まですべての期間の「成婚退会者数」「総会員数」を意味します。
全期間の会員数を分母として、そこから何人成婚退会できたかを算出していますので、一般の人から見ても、一番しっくりする計算方法だと思います。
次に②の場合です。算出期間は2021年~2022年とします。
算出期間中の成婚退会者数10名 ÷ 算出期間中の総会員数50名 = 成婚率20%
①と異なり全期間ではなく、一定期間の成婚退会者と登録者に絞り込み、成婚率を算出します。成婚退会者が多い期間で計算すれば、成婚率は上がります。
③の場合はどうでしょう。
成婚退会者数20名 ÷ 総退会者数(成婚退会者数+成婚以外の途中退会者数=40名)=成婚率50%
①②は分母が総会員数ですが、③の分母は退会した会員数です。退会者のうち、何%が成婚できたかを見るのに適しています。
一方で①②の場合は、入会者の中で何%が成婚できたかを示しています。
現在、多くの相談所が③の計算方法を使って成婚率を公表しています。③の計算方法の場合、あくまで退会者の中の成婚退会の割合を示しているにすぎません。ですので、「入会したら2分の1の確率で成婚できる!」とはならないことは注意してください。
加えていえば、結婚相談所側が、計測期間や選択コースを絞り込むことで、分子・分母を意図的に操作し、より高い成婚率を出すことも可能です。
このように成婚率は、結婚相談所を比較する数字としては大変心もとないといわざるを得ないのです。あくまで参考程度にとどめておくのが無難でしょう。
説明されてもはっきり言って、よくわからないですね。成婚率は、あまり重視すべきではないと思います。
結婚相談業界の特殊性
TVの視聴率であれば、ビデオリサーチ社という第三者的な民間企業が、定められた調査方法で視聴率を測定・公表しています。TV局に広告を出す企業は、ビデオリサーチ社という第三者機関が調査した各番組の視聴率を見て、広告を出稿するかどうかを判断します。
一方で、結婚相談所業界には、ビデオリサーチ社のような第三者機関がありません。そのため、根拠のない数字(成婚者数)に基づいて成婚率が計算されているのかどうかすら利用者にはわかりません。
成婚率をうのみにして「結婚相談所に登録すれば結婚できる!」と過大な期待を抱くことを止めましょう。
結婚相談所が消費者にイマイチ信頼されない理由のひとつが、成婚率など利用者にとって重要な数字の算出方法が統一されていない点があげられます。
まとめ
いかがでしょうか。
成婚率と言っても様々な計算方法で算出されており比較の数字としてあてにならないこと、計算の基となる成婚数についても公正な第三者機関によって担保されているものではないことが理解できたのではないでしょうか。
結婚相談所を選ぶ際には成婚率はあくまで参考程度にとどめてください。
仲人の相性、会員数、月の申し込み限度、料金など、結婚相談所を選ぶ重要な基準はほかにいくらでもあります。「成婚率90%!」などの派手なPRは眉唾だと思っておいた方が無難です。